武蔵小杉のタワーマンションはなぜ浸水したのか

東京のベッドタウンとして若い世代に人気の武蔵小杉にそびえたつタワーマンションがまさかの台風被害を受けました。

 

 

地下の電源設備が水没したため、1階から24階までのエレベータが動かないということで住民は不便を強いられています。

 

 

 気になったので現地に足を運んで取材してきました。

 

 

 この武蔵小杉は、近年の開発でタワマンが多数建っており、子育て世代が住む活気のある街です。

 

 

多摩川沿いで東京にアクセスしやすく環境もよいので大変人気のエリアでした。

 

 

ただ、不動産投資という観点からみると、価格が高く、賃貸よりも持ち家の需要があるエリアなので

 

 

あまり投資対象としてはおススメしていないエリアではありました。

 

 

もちろん、相場より安く買えるのであれば全然ありですけどね。

 

 

 現地に行きますと、目にするのは武蔵小杉駅の南側と北側の違いです。

 

 

南側は低層の住宅や小規模な店舗が立ち並ぶ昔ながらの商店街です。

 

 

人通りも多く、商店街を通る小さな交差点などは車と人でごった返していました。

 

 

水が来た形跡もなく道路もきれいでした。

 

 

 一方、北側のタワーマンションが立ち並ぶエリアはというと

 

 

しっかりと区画整備され、道路は左右一車線ずつ車が通れる幅があり、歩道も両側に広くとってあります。

 

 

歩道と建物の間も緑化エリアがあり建物と建物の間に十分な広さが確保されているため

 

 

高層マンションが連立していてもすこしも圧迫感がありません。

 

 

 マンションの低層階にはショッピングモールがあったりカフェが入っているところもあり

 

 

洒落た感じです。

 

 

 だからこそ、地面に残る泥の後は生々しく、緑地の低めの部分は、葉っぱが茶色く汚れています。

 

 

道行く人の関心は、やはり台風のことで、遠くから聞いているだけでも、老夫婦や昼食に出てきたサラリーマンが台風の話をしていました。

 

 

 今回、被災してしまったマンションの1階には、工事業者のトラックが数台停まっていました。

 

 

エレベータとかは全とっかえするとかなりの金額になるので

 

 

保険などがおりて入居者に負担がなく復旧できるとよいなと思っています。

 

 

 ハザードマップによるとこの一帯は浸水した場合は水深3メートルくらいになる場所でした。

 

 

ですので、このタワマンに限らず、そのほかの建物も被災してもおかしくなかったのですが、

 

 

 このエリアにタワマンがいくつも建っているのにどうして、この1か所だけが大きな影響を受けてしまったのでしょうか。

 

 

 この疑問について、周辺をくまなく歩いて調査してきました。

 

 

その結果、わかったのは、この被害を受けたタワマンだけが、本当に微妙に低い位置にあったということです。

 

 

駅からそのタワマンまでのメインの道路は駅を中心に緩やかな下り坂です。

 

 

その道沿いに別のタワマンも建っていますが、そこから微妙にちょっとだけ下がったところに今回のタワマンがあるのです。

 

 

そしてそのタワマンの前面道路付近が最も低く、その先の交差点付近は少しだけ(気持ち30~50センチ程度)高い感じです。

 

 

その交差点は左手が1~2メートル高くなっておりちょっと急な下り坂で、交差点を中心にタワマンを含めた3方向の道路が30センチくらい低い緩やかな下り坂になっています。

 

 

つまり、今回のタワマンの前面道路は、駅からの水および、交差点からの水の両方が貯まる場所だったというわけです。

 

 

 正直、人間の目では本当に微妙な高低差です。それでも、ビー玉が転がる程度には傾斜がありますので水は低い方に流れていくでしょう。

 

 

この高低差は、普通に歩いていれば気にならない程度、現地でつぶさに見て回らないとわからないレベルの高低差です。

 

 

交差点から駅の間にあるタワマンや歩道を観察すると、水が来た場所と来ていない場所の差は30~50センチくらいの本当に微妙な高低差でした。

 

 

 おそらく、この微妙な高低差がタワマンの水没について、明暗を分けたのだと思います。

 

 

 タワマンといえば地震にも強く、災害に対し最新の設備を備えているものだと思っていたため

 

 

思わぬところでその脆弱性をあらわにしてしまったところに驚きを隠せません。

 

 

 ハザードマップによれば、東京の江戸川区はほとんど浸水エリアに指定されています。

 

 

今回は多摩川でしたが、これがいつ荒川や江戸川などで起きるとは限りません。

 

 

そういう意味で対岸の火事と受け取らず、火災保険などの備えを整えなくてはならないですね。